2008年02月05日

中国国内でのメタミドホス中毒および死亡状況

福島香織さんの北京趣聞博客(ぺきんこねたぶろぐ)からの抜粋
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/1/

■主席医学ネットより。
江蘇省太倉市のメタミドホス中毒および死亡状況。
1997年〜2002年全市の医療機関から市疾病コントロールセンターに報告された農薬中毒案件は、654例で、農薬中毒症の81・75%だった。うち死亡例は210例で、農薬中毒死亡例の97・22%だった。同市における平均発症率は一万人に2・27人。農作業中の中毒は150例で死亡はゼロ。それ以外の中毒は504例で死亡率は41・67%。中毒者の60・55%が30〜60歳。

■中毒の原因は、農作業中の中毒によるほか、メタミドホスを塗布した野菜果実を食べるなどの誤食(というか残留農薬)、農薬の瓶を食用瓶に使ったことによる誤飲、家庭不和、恋愛挫折、失業、職場の同僚との喧嘩などの原因に理由による服用自殺などがあった。(以上、引用おわり)

■これは、メタミドホス生産が盛んな太倉市におけるメタミドホス中毒の多さを指摘し、現地医療機関に対策を講じることを求める調査リポートからの抜粋。リポートはメタミドホスが、農薬中毒でもっとも多く、死亡率も高く、農民の健康を脅かしている実態を訴えている。調査はメタミドホス禁止の公布が出る前のものだが、中毒例は農作業中より、誤食、誤飲、自殺の方が多いのだ(死亡率も)。なかでも農薬の瓶を食用瓶に使うなどの無知ぶりにがくぜんとさせられる。ようするに、メタミドホスの危険性が分かっていない農民が多いということだ。つまり危険性を認識せず収穫直前などにもがんがん農作物にまいたりすることもありうる。

■こういうことから、次のような事件が国内でしばしば起きている
■嘉興日報(2008年1月29日付、浙江省の地元紙)
浙江省嘉興市秀州区油車港鎮馬庫村で27日夜、2家族9人が一緒に火鍋(鍋料理)を食べ、食べ終わらないうちに腹痛、嘔吐などにおそわれ、6人が病院にはこばれた。けいれんなどを起こしたので、化学検査した結果、有機リン農薬中毒と診断された。
 彼らのうち2人は経過観察が必要な重症だった。彼らは家が強制撤去され、引っ越し先もない状況だったので、友達家族の家に一時借り住まいしていた。夜、みんなで一緒に食事をしたときの出来事だった。症状を訴えた最高齢は84歳、最年少は14歳。食事中酒をのんでいた3人は症状がなかった。
 鍋に入れた食材はその日午後に買ったものばかり。ただ白菜だけは自分の畑で栽培していた。白菜は夏の終わりごろにメタミドホスを使用したことがあるが、これまで問題はなかった。

■仏山日報(2007年6月26日)
広東省仏山市の富湾大橋工事現場の食堂で22日昼、トマトスープなどを食べた民工(出稼ぎ農民)21人が食事後1時間半後、動悸がくるしくなる、嘔吐、脂汗などの症状を訴え、うち7人が意識不明の重体になった。病院に運ばれ、胃の洗浄などの治療を受けて命は助かった。
 翌日、警察が食事の残りを化学検査したところ、トマトスープから有機リン系農薬が検出された。このトマトは、不定期の移動露天商が売っていたものだった。


■華西都市報(2004年4月8日)
4月7日、衛生当局は食品安全警告の広告を発表。メタミドホスを食品に入れないよう、農薬を保存する場所には「たべられません」との表示をつけ、農薬誤食中毒を防止するよう呼びかけた。
 というのも、3月31日、4月4日に、同省でメタミドホス中毒事故が相次いでおき、12人が中毒、うち2人が死亡した。無色透明なこの液体を調味料と間違えて料理に使用したのが原因だ。

■倉庫や小売店、あるいは農家の物置(台所にも?)メタミドホスは残っている。また、危険性をあまり認識せず、せっかく買ったんだからもったいないから今年も使おうなんて農民もいるだろう。中国では、だから高毒性農薬が比較的簡単に手に入る、といってもいいだろう。そして、そのことが「投毒」と呼ばれる事件も多く誘発している。たとえば以下のような事件。

■合肥晩報(2007年9月12日)
8月20日、合肥市肥東県公安当局は、桐山村の農村家庭で、家でビールを飲んでいた男性がビールの味がおかしいと訴えたので捜査を開始。ビール瓶の蓋には針であけたような穴があった。化学検査の結果、ビールからメタミドホスが検出され、蓋の穴から注入されたと断定。この日、妻が男性の賭け事を責めたことで、夫婦喧嘩があり、妻によるウラミの犯行であることがわかった。

■江南都市報(2007年3月19日)
 撫州市臨川区で、近所とけんかした農婦が報復のつもりでメタミドホスを井戸に投げ入れ、9人が中毒症状を起こしたが全員命が助かった。臨川警察は農婦を「投毒致傷」の疑いで逮捕。16日、村の3家庭9人の村人が次々めまい、腹痛をおこし、警察が投毒事件として捜査していた。

■今回の日本の毒ギョーザ事件の背景はまだ分からないし、上に述べたことと直接、関連づけるつもりはない。だが、中国でメタミドホスの管理がさほど厳格ではなく、その結果、メタミドホスが原因の事故、事件は少なくない、ということは、日本人も知っておいた方がいい。そして、日本政府は、そういう中国の状況にどう対応するべきかを、今考えるときだろう。

■たとえば、中国政府が過去に販売したメタミドホスの回収法や管理をどのように考えているのか問いただしてみたり、農民の安全教育研修や流通上の安全管理の技術、ノウハウなどの相談に応じてみたり。生産禁止(今年)後のプラントがどう処理、解体されるか、あるいは転用されるか、ちゃんと説明をうけるとか。

■でも、やはり一番重要なのは、日本政府、日本企業そして日本人消費者が、食の安全をどう自衛するか、を考えることだと思う。それは、国内の食品自給率をもう少しアップするにはどうしたらいいかとか、海外から来る食品の安全レベルを引き上げる検疫システムをどう改善するとか、あるいは、小さい子供がいる家庭では、手料理を増やしてもらうために、働くお母さん、お父さんへの便宜をはかるべきじゃないかとか、そういうレベルの議論でも、無駄とか無理とかあほらしいとか思わずにやるのも必要じゃないかな、と思ったりするのである。
posted by ディポ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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